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1049z,単行本・一般,碁がたき,,編者 榊山 潤,南北社,315,一般,1960年12月20日 発行,334ページ・B6判ハードカバー,一 碁がたき
二 呉清源棋談
三 棋士随想
四 アマ碁談義
五 本因坊ものがたり
六 文壇囲碁会について
七 プロフィル
八 棋譜
九 付録
あとがき,あとがき
南北社の大竹君が来て、碁の随筆集を出したいという。出版の量では日本は世界で二番目というが、それほど毎月多くの本が出ながら、碁に関する随筆集というものは殆ど出ない。去年私は碁に関する文章だけを集めて一冊にしたが、他に類のないせいか、割に好評だった。大竹君は、政治、経済、その他社会全般にわたる各層から拾い集めたら、壮観であろうという。私が賛成すると、ではその編集を引受けろとの話だ。私は引受けた。実は、各層から碁の随筆を拾いあげるといっても、そう沢山はあるまいと思った。主として作家仲間のそれ、専門家がたまさか書いたものくらいで、その他はあったとしたところで、数が知れていると、たかをくくった。何はともあれ、碁のこととなれば、大本山の日本棋院に材料を求めなければなるまい。私は棋院編集部の河野さんを紹介した。
数日後、大竹君の持参した雑誌の数を見て驚いた。山ほどあるのだ。ざっと調べると、実にいろいろな人、思いがけない人まで、碁について書いている。これは大変なことになったと、私は内心閉口した。が、乗りかかった船とあれば止むを得ない。読み、整理して行くうちに、欲が出た。いっそ網羅主義にして、一人でも多くとり入れようということになった。
そんな風で、編集方針は幾度か変った。結局、各層の囲碁随筆を網羅すると同時に、主要な専門家の横顔を並べ、加えて、近頃旺んなアマチュアの活動をも含めて、棋界の現状がこの一冊ですっかり分るという形をとった。四角四面な説明ではなく、寝転んで手当たり次第の頁をひらいて貰い、碁の楽しさ、専門家に関するゴシップ以上の知識、それらを十分に味わえるような仕組みにした。そういう試みが成功したかどうかは、出来上がって見なければ分らないが、そのために予定した頁数は倍になり、予定した原稿で、残念ながら割愛せざるを得なかったものも相当ある。
大竹君の南北社は、ベストセラーは決して狙わない、という風変わりな出版屋である。年に五冊か六冊、好きな本を出して、損さえしなければいいという、手堅いのか、欲がないのか、ともかくあまり類のない出版屋だ。私が本文の中に書いている砂子屋書房も、恰度そんな風だった。そうして成功した。戦争さえなかったら、砂子屋書房は今も、時流に阿らず、好き勝手な本を出していたろう。大竹君も、これで損をしなかったら、続編を出したいと言っている。そうなれば、割愛した原稿も使えるし、この集で果せなかった別の計画の試みも出来るというものだ。
尚、棋院編集部の河野さんには、特別に感謝しなければならない。河野さんの熱心な協力がなかったら、とてもこの本はこれだけに出来上らなかったろう。
追記 集った原稿があまりに多すぎ、本が辞典みたいに厚くなりそうなので、編集計画もさらに三転四転した。思い切って半分以上減らし、後は続編を待って頂くことになり、従って折角の原稿を頂きながら、失礼を重ねるようなことになりました。私から深くお詫びいたします。
昭和三十五年十一月 榊山 潤,
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1050z,単行本・一般,碁苦楽,,編者 榊山 潤,南北社,420,一般,1962年10月10日 発行,382ページ・B6判ハードカバー,一 烏鷺合戦
二 碁もまた楽し
三 棋士棋談
四 勝負師ものがたり
五 囲碁ジャーナリズム小史
六 放談 ― 囲碁座談会 ―
七 碁石の遊び,あとがき
前の「碁がたき」が評判がよかったので、その続編として、「碁苦楽」を出すことになった。続編といっても、これはこれは、独立した随筆集である。「碁がたき」とは趣向もすこし変えるつもりで、あれこれと工夫したが、この点は巧く行ったかどうか分らない。唯、巻末の座談会など、「碁がたき」にはなかったものとして、いささか自慢の種である。これに蛇足を加えておくと、升田幸三はいうまでもなく将棋の前名人、碁もアマチュア五段の実力十分である。次の大竹青雨という名は鹿爪らしいが、新橋の藤千代ネエさんといえば、天下の囲碁ファンは大抵知っている筈だ。増淵辰子五段のお弟子さんで、棋院の免状は四段か五段か知らないが、升田さんに匹敵する腕前を持っている。この藤千代さんと升田さんに、増淵さんの経営する銀座の「龍岡」で、一杯やりながら、思う存分のお喋りをして貰った。
この集の原稿集めを実際にやってくれたのは、棋院の「棋道」編集長、林裕君である。文壇関係はともかくとして、それ以外の原稿は林君の尽力なくしては、とてもこれだけ集まらなかったろう。林君には感謝の他はない。
これまで、碁の随筆集など、殆ど出なかった。その意味で「碁がたき」は新しい道をひらいた形で、続いて「碁苦楽」も、恐らく多くの囲碁ファンに、満足して頂けるだろう。これもまた大いに売れて、続いて続々篇、さらに続々々篇などと、ゾクゾク出てくれるとおもしろい。これは私の閑つぶしの空想であるが、そんな空想が、案外実現しないとも限らない。何しろ棋院の推定では、囲碁人口五百万というのだから。
昭和三十七年九月,
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